秋月藩医緒方春朔は、わが国医療の先覚者の一人である。 天然痘は今や完全に根絶されたが、当時の人々の天然痘に対する恐怖は、現代の我々には想像もつかないほど恐ろしいものであった。 緒方春朔はこの天然痘の予防のため、予防接種である人痘種痘法をわが国で初めて成功させ、これを全国に広めたのである。時に、寛政2年(1790)のことである。これは、エドワード・ジェンナーの牛痘種痘法成功より、6年早い時期であった。この春朔こそが、わが国における種痘の始祖であり、予防接種の先覚者である。 しかし、この春朔の偉業については、世の中にはあまり知られていない。ここに、ホームページ『緒方春朔』を著し、広く春朔の業績を紹介し、先達の偉業を讃えんとするものである。
平成14年春
秋月、山和荘にて
富田英壽 (日本医史学会会員)