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めまいは原因が分かれば治ります |
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U 障害がある部位によって、3グループに分けられます一.耳に原因があって起こるめまい1.
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E「耳石」がどうして、はずれるのか原因は不明ですが、過去に頭部外傷やむち打ちをした人は、衝撃で「耳石」がはがれ、三半規管の中に入り、この病気を起こしやすいです。
日常、頭の運動の少ない人、たとえば、寝たきりの人や長期入院の人、
F運動不足の人に多いのはどうしてでしょうか。
運動不足で頭を動かさずにいると、はがれた「耳石」が、卵形嚢の底に沈んでたまりやすくなります。
卵形嚢の底には掃除細胞がありませんので、「耳石」やその残骸を取り除けなくなり、そのまま底に沈殿することになります。たまった「耳石」が三半規管の中に入りやすくなり、「耳石」が三半規管のなかで浮遊して、頭を動かすと「耳石」が動き、三半規管の中のリンパの流れが生じます。
このリンパの流れが膨大部にあるクプラを曲げ、有毛細胞を刺激して、めまいが生じることになります。男性より女性の方が3倍位多いのは、女性の方が運動不足のせいでしょう。若年者より高齢者に多く起こるのも、高齢者の方は運動が、少ないためでしょうか。
G治療は、「耳石置換療法」、すなわち理学療法のエプレイ法・レンパート法などを行います。
医師が眼振を観察しながら、手で頭を動かして、はずれた「耳石」を、元に戻す理学的治療です。5分間位、椅子の上やベッド上で、頭を決められた位置や方向に動かして行います。
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「耳石」が、後半規管に入り込んでいる場合は、アメリカのEpleyが1992年に、考案したエプレイ法を実施します。「耳石」が、外側半規管に入り込んでいる場合は、ドイツのLem
pertが1994年に、開発したレンパート法を行います。 エプレイ法は、エプレイ法とかエプリー法とか呼ばれていますが、Epley医師の周辺では、エプリーと発音されているそうです。
Hこの病気は、自然に治癒する場合が、多いといわれています。
「耳石」が半規管に入り、リンパ液の中を浮遊する「半規管結石症」の場合は、「耳石」が自然に元の場所に戻ることで、また、「耳石」が非常に柔い場合には、溶けて小さくなり、悪影響を起こさなくなるのであろうと考えられています。自然治癒しなくても、良性で比較的治りやすく、1回の「耳石置換療法」で治る幸運な人も多くいます。大部分の人が、数回の「耳石置換療法」で治ります。
人によっては、治るまで時間がかかる場合があります。これは「耳石」が膨大部稜のクプラの粘着な所に付着して、はずれるまで時間がかかるからであります。これを「クプラ結石症」といいます。前半規管は、起きた状態でも寝た状態でも、上の方に位置しますので、耳石が前半規管に入り込むことは少ないといわれています。
「良性発作性頭位めまい症」は、再発は少ないものですが、20人に1人位は、また起こることがあります。再発しても、また「耳石置換療法」により治りやすいようです。
I「良性発作性頭位めまい症」で、めまいの薬をいくら飲んでも、「耳石」は、元のところには戻ってはきませんので、薬では「良性発作性頭位めまい症」は、治らないのです。
J他の内耳性めまい、たとえば、メニエール病やめまいを伴う突発性難聴などの経過中に、この「良性発作性頭位めまい症」が合併して起こることがあります。
平成29年度1年間に、私のクリニックのめまい外来を受診された、めまい患者さん437名の中で「良性発作性頭位めまい症」と診断された方は、212名(約49%)でしたが、この212名の中の46名(約22%)は,メニエール病と合併しておりました。(表1)このようなメニエール病と合併している患者さんによく尋ねますと、「以前から何回も繰り返し起こっていためまいは、頭の位置を変換して起こるのではなく、めまいの持続時間も長時間のものでありましたが、最近のめまいは、頭の位置の変化で起こり、持続時間は数秒から数10秒と短時間であり、以前からのめまいと違う」といわれます。
これは、メニエール病の長い経過中に、「良性発作性頭位めまい症」がメニエール病に合併して、最近起きたものと思われます。ある学者は「メニエール病の約5%に良性発作性頭位めまい症を伴う」と報告しています。
このような場合は、まず「良性発作性頭位めまい症」を「耳石置換療法」で治療させる一方で、メニエール病の治療にもとりかかります。
K睡眠しているときに枕が低いと、耳石器と三半規管が水平になって、「耳石」が三半規管に入りやすくなりますので、枕はやや高めにします。寝具は、自由に寝返りができるものを選びます。
あまり柔らかいものではなく、適度な硬さのものが、体を自由に動かせて寝返りができて良いようです。
Lところで、「耳石置換療法」のエプレイ法やレンパート法が考案されたのは、今から約25年前です。
それから最近にかけて広がってきたわけです。ですから、めまい診療を専門にしている医師だけしか、この病気を診断し、この治療を実施していないのではないかと推測されます。しかも、この「良性発作性頭位めまい症」が、めまい患者のなかで、一番多く約50〜60%を占めます。そして、治りやすい病気です。この点を強調して「めまいは原因が分かれば治ります」と申し上げている訳です。
@ メニエール(1799〜1862)は、フランスの内科医です。
めまいのなかには、脳の病気によるものではなく、内耳の異常によるものがあることを発見しました。これから「メニエール病」という病名が起こりました。
A 三大症状のめまい、難聴、耳鳴りがあります。めまいを起こす病気の20%位です(表1)。
B 原因は、耳の三半規管のリンパ水腫(むくみ)が原因で起こります(図1)。内耳全体のリンパ液が、何らかの原因で過剰にできてパンパンにふくらみます。 このむくみがひどくなると、そのむくみの圧迫で、内耳に障害が起こり。めまい、難聴、耳鳴り、耳閉塞感が起きてまいります。
C どうしてリンパ液が多くなって、むくんでしまうのでしょうか。 内リンパ液が、過剰に作られるのは、 ストレスが原因であろうといわれています。ストレスによって、ホルモンを分泌するシステムに変調が起こり、抗利尿ホルモンに影響を与えて、水分をため込むのではないかと考えられています。
D 何度もめまい発作を繰り返します。良かったり、悪かったりいます。1回のめまい発作は、数10分から半日ほど続きます。「良性発作性頭位めまい症」より、めまい発作時間が長いです。このようなめまい発作が、月に数回、年に数回繰り返します。
E メニエール病患者の男女比と年齢別の頻度は、女性に多く、男性の3倍位に起きてきます。年齢別で見ますと、30〜50歳の年齢層でかかることが多く、仕事が多く、多忙な青壮年期に多いようです。
表4 メニエール病の男女比と年齢比
(富田耳鼻咽喉科医院めまい外来2017年1月1日〜12月31日の1年間)
年齢 (歳台) |
10 |
20 |
30 |
40 |
50 |
60 |
70 |
80 |
90 |
小計 |
合計 |
男性 (名) |
0 |
1 |
2 |
5 |
2 |
8 |
7 |
3 |
0 |
28 |
107 |
女性 (名) |
0 |
3 |
15 |
11 |
14 |
17 |
13 |
6 |
0 |
79 |
F 自律神経症状を伴うことが多いです。
G 誘因として、ストレス、過労、睡眠不足などがあります。 問診で時間をかけて、患者さんの家庭環境や仕事環境を詳しくお尋ねいたします。家族の内容、病気、育児、子どもの教育、親の介護、家庭や親族の不和、隣人関係、子どもの不登校、成績不振、いじめ、離婚、別居、同居人、さまざまな団体の世話ごと、職場での仕事の内容、仕事量、転勤、仕事の失敗、対人関係の悩み、帰宅時間、睡眠時間、その他ストレスになること、心配なことなどの誘因になることを、詳しく尋ねることから始めます。
H 治療:この病気はストレス、過労、睡眠不足などの生活習慣が悪影響し、三半規管の「内リンパ水腫」、すなわち「むくみ」をきたすことで起こります。生活面で、ストレス、過労、睡眠不足などを軽減するように気をつけることが、一番大事です、すなわち「生活改善」が必要です。 めまいのお薬では、なかなか効果はありません。めまいの原因を根本的に治してくれないからです。私は、お薬は普通処方いたしません。 治療で大切なのは、この「くたびれ」を解消することが一番です。ストレス、過労、睡眠不足からくる精神的「くたびれ」と肉体的「くたびれ」を解消するためには、次の三つが大切です。
改善されなければ入眠剤の使用も考えます。 以上の「生活改善」が、まず大事です。
次に、「
I 一度起きてしまうと、すぐに完治は難しい病気です。根気よくこれらの「生活改善」や「有酸素運動」を、続けて治療しなければなりません。 根気よく治療をしているうちに、3ヶ月に1回起きていためまい発作も、年に1回、2年に1回と回数が減っていきます。
慢性中耳炎、とくに真珠腫性中耳炎に多いです。 中耳炎の炎症が内耳に波及し、また中耳にできた真珠腫が、内耳を圧してめまいを起こします。
感冒などによるウイルス感染で、前庭神経が炎症を起こし、強いぐるぐるめまいが断続的に数日間起こります。しかし難聴や耳鳴りはありません。大きなめまいの後数ヶ月は、最初のような激しいめまいはなく、体動時あるいは歩行時にふらつき感がありません。
感冒などによる内耳のウイルス感染や血管循環不全が原因で、聴神経に障害が起こると、急に難聴がきます。この時に聴神経のとなりにある前庭神経の障害も起こり、めまいを伴う場合があります。突発性難聴の約40%に、めまいを伴うといわれています。メニエール病と異なるのは、めまいは最初の1回だけ起こり、これを繰り返すことはありません。難聴や耳鳴りは、めまい感が消失しても持続します。
鼻のかみすぎやダイビング、飛行機への搭乗などで、中耳圧の高まりで内耳窓が破れて起ります。水の流れる音がすることがあります。瘻孔は、通常自然に閉鎖することが多いので、保存的治療が勧められています。
長く続く高度な一側の内耳性難聴に続発して、進行性の内リンパ水腫が生じ、その結果メニエール病様の前庭症状、すなわちめまいが起こる病気です。
内耳道に腫瘍ができ、長期間の経過で増悪する難聴があり、約20%の症例で、めまいを起こしてくることがあります。
@ハント症候群
耳介、外耳道やその周辺、または、軟口蓋に
A
梅毒が原因で、血行性内耳炎あるいは内耳神経炎を起こし、蝸牛症状と前庭症状が組み合わされて発病します。両側性難聴、両耳鳴があります。血清梅毒反応が陽性に出ます。
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