甘木歴史資料館−緒方春朔関係の資料 |
緒方春朔は中国の医学書『醫宗金鑑』巻60種痘心法要旨などをもとに研究し人痘種痘法を完成させたのですが、この『醫宗金鑑』を保管してある甘木歴史資料館の撮影取材許可をうけ、早速出かけることにしました。(2002年4月26日) 案内していただいたのは、歴史資料館の吉田東明氏で「実は常設してある緒方春朔の資料も、企画展があったので全てこちらに保管してあります。」と資料倉庫から、いつもはガラスケースに収められている資料共々出していただきました。そのため今回は、貴重な資料を間近に見られ実際に手にしての撮影が可能となりました。 |
『醫宗金鑑』
箱から出された醫宗金鑑は、紺色の布を使い立派な装丁に仕上げられ、元・亨・利・貞の4巻で構成されています。(写真A) その4巻それぞれが科別(8冊ほど)に分かれており、全巻で30数冊になっていました。その中に春朔が書き写したと言われる巻60種痘心法要旨の文字見つけたときは少し興奮してしまいました。(写真B) 巻60種痘心法要旨中には、このホームページ上でもよく目にする旱苗種法の文字もあります。(写真C) 他には眼科の巻や中国医学として有名な鍼灸、按摩の巻などもあり、特にこの巻には説明図が多く使われていました。鍼灸のツボなどは図解しなければ分りづらいからなのでしょう。(写真D) この醫宗金鑑は中国清代(1742)に勅命により当時の中国伝統医学を集大成した医学書で、わが国には1752年に輸入されその後長崎に遊学していた春朔がこの本と巡り会ったと思われます。(当時春朔は40歳前後でした。) 醫宗金鑑に掲載されている薬方(漢方)は現在も使われておりインターネットで「醫宗金鑑」をキーワードに検索すれば、かなりのサイトがヒットします。 |
写真C(下)-醫宗金鑑巻60種痘心法要旨旱苗種法 |
以下館内に常設されている資料の一部です。 |
明治30年の日付が見える種痘接種済証明書もあります。(写真左)この明治30年とはジェンナーの牛痘種痘法発見より100年ほど経ったころで、北里柴三郎博士や緒方春朔史談に登場する梅野信吉博士らが活躍している時代です。 |
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